2018年6月7日

ぐるりのこと。- これはあの頃の私達の物語【映画】

カテゴリ: 映画

私たち夫婦は不妊症でした。

子供が好きで、保育の道を仕事に選び、早く結婚して、早く子供が欲しかった奥さんにとって、それは本当に辛い日々でした。

タイミング療法、数回の人工授精を経て、体外受精。

体外受精に失敗して、奥さんの心は不安定になっていきました。タイミング療法や人工授精と違い、体外受精の場合は命となる受精卵が出来ていました。

それを子宮に戻し着床すれば妊娠となります。

しかし子供ができませんでした。

その事で奥さんは自分を責めました。自分のせいで、生まれてくるはずの命を駄目にしてしまった。私が殺してしまった。私が殺してしまった。

もう生きていたくない。もう死にたいとまで奥さんは言いました。いや、実際に彼女は大量の薬を飲んで死のうとしました。

少し形は違うけど、喪失の思いに打ちのめされて、心を病んでしまった翔子は、私の奥さんそのものでした。

この映画には、まぎれもなくあの頃の私達がいました。

何事もきちんとしたい妻・翔子と、ひょうひょうと生きる法定画家の夫・カナオ。どこにでもいる夫婦である彼らにおとずれるさまざまな困難。初めての子供の死、妻のうつ……。それでもふたりは一つずつ一緒に乗り越え生きていく。

幸いな事に私達は、その後2回目の体外受精で子供を授かる事ができました。でもあの辛い日々から抜け出すひとつの答えとして、映画の翔子とカナオのように二人だけで生きていくという覚悟も、たしかにあの日あったのです。

安定剤なしには眠れないような状態になり、一番ひどい時には、私すら拒絶し心を閉ざしてしまった奥さん。

離婚の二文字が頭をかすめなかったといえば嘘になります。

でも私は決めました。どういう結果になろうと二人で一緒にいよう。出来る限りの事をしようと。

映画を見ながら、あの頃の出来事が走馬灯の様に頭の中を駆け巡りました。そして涙を堪えることが出来ませんでした。

でも私は、この映画を観るまで、あの苦しい日々の事をすっかり忘れていました。思い出す事もありませんでした。

どうしてだろう?

それは今がとても幸せだからです。

今、二人の息子と一匹の愛犬に囲まれて毎日を笑って過ごす私と奥さんがいます。あの時、奥さんが夢に見た家庭が、今この手の中にあるからなんだと。

びっくりするほど平凡ですし、仕事は常に山あり谷あり。日々大変です。でも幸せです。

あの辛く苦しい日々は、私たち夫婦に平凡で当たり前で普通な生活がいかに幸せなことなのかを教えてくれました。

この映画は「何があっても別れない夫婦の、10年におよぶ希望と再生の物語」。

子供と過ごす日々も大切ですが、久しぶりに夫婦二人だけでどこかに出かけたいと思いました。

※この記事は旧ブログに掲載されたものを加筆修正して再公開したものです。


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サムリ
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